星乃瑞穂酒店は、オーナーである僕の名前や家族などの名前を取った訳でもないので、皆様からよく店名の由来を聞かれます。
一体、なぜ星乃瑞穂なのか??
それにはまず、僕の小学生時代にまで遡ります。
🌟星★編🌠
僕は、小さい時から星を眺めるのが大好きな少年でした。夕方、陽が落ち始めると一番星が輝き始めます。そして、美しい夕焼けのあと、夜の帳が思ったよりも早く、かつ厳かに下り始めます。
少しずつ闇が世界を支配していく感覚、そして賑やかだった町が少しずつ静けさを演じ始めます。それは、今まで世界を支配していた太陽という大きく偉大な存在から、月や数多に輝く星々へと主役が移り変わっていく様子を、あたかも演出するかのように。
そして、静寂とともに夜空には満天の星々が輝き始めるのです。
その様子を見るのが、とても好きでした。星々は、思いのままに瞬き、月は何食わぬ顔で夜空を闊歩していく。
星々は、いつもたくさんの顔を見せてくれます。季節によっても違えば、同じ日でも時間によって変わっていく。
そう、まるで夜空をステージにした演劇を見ているかのように。
それは、とても神秘的で心がワクワクと踊るような気持ちを感じさせました。
だって、夜空の舞台で白鳥や大熊や子熊、サソリにワシや神話に出てくるオリオンまで。そう、たくさんの人や動物、時には道具なども我こそはと舞台に上がり、それぞれの役を演じるのです。星々は、ずっと見上げていても飽きることがないものでした。
そんなある日、アニメーションで『銀河鉄道の夜』を見る機会がありました。
僕は、一気にその世界にはまってしまいます。そして、思うのです。いつか、本当の幸いを見つけたいと。みんなが、楽しく笑っておしゃべりをしたり、時には悲しみを分かち合えたり、励ましあったり。自分のためだけではなく、みんなの幸いのためになれるような、そんな生き方や場所があってもいいんじゃないかって。
そして、夜は作物の発育にとって単なる休息の時間ではなく、昼間に蓄えたエネルギーを消費して実や葉を大きく育てる「最も重要な成長の時間であり、また日本酒造りにおいても、夜の冷え込みは「寒造り」と呼ばれる、良いお酒を造る為に欠かせない要素でもあります。ウイスキー造りにおいては、昼夜の寒暖差による樽の呼吸が、樽の豊かなフレーバーを効率よく原酒へ溶け込ませていきます。そして、その涼しさは荒々しさを削ぎ落し、味をまろやかにしていきます。あとワインで言うなら、「ビオディナミ農法」という太陽・月・天体の位置関係を記した「農業暦」に則って栽培や醸造を行う農法もあります。月の満ち欠けによる引力が植物の生命力を高めたりすると言われていたり、天文学上の星座の位置によって葡萄の収穫やボトリング作業を行うと、最もポテンシャルが開花するともいわれたりしています。
僕の心の中に、「星」というものが宿った瞬間でした。
🗾瑞穂🌾編📜
僕はある日、日本というものについて考えることがありました。
今でこそ、日本は昔のように精神的に強い、鋼のような存在ではなくなりましたが、その精神はモノづくりをしっかりとされている方々には、連綿と引き継がれていると思っております。僕も、全く精神的に弱い人間なので偉そうには言えませんが、妥協することなく良いものを作りたいという精神は、それぞれの文化となり今では世界中で認められていると思っています。その中でも、僕はお酒というものに対して、強い思いがあります。ただの、酒好きといわれればそれまでですが、今のアルコール離れや日本酒への興味などが失われつつある現状が、ただとても寂しくあるのです。
当店は、日本酒に限らず日本ワイン、クラフトビール、ジャパニーズウイスキー、焼酎などを専門に扱う店というコンセプトになっています。
ですから、日本をいうもの、そしてそれぞれが日本の大地の恩恵を受けた、作物で造られているということを意識し、頭に浮かんだのが日本神話(「古事記」や「日本書紀」)に出てくる「豊葦原千五百秋瑞穂国」と記された日本の国土を美しく讃えて呼んだ呼称・美称です。
神々が住む天上の世界「高天原(たかまはら)」に対して、私たちが生きる地上の日本そのものを指しています。
言葉の意味としても、日本の豊かな自然と農耕文化を象徴する要素から成り立っています。
・葦原
川辺などに生命力強く生い茂る「葦(あし)」のある風景を指し、瑞々しく生命力に満ちあふれた豊穣な土地であることを意味しております。
・瑞穂
「瑞々しく、立派に実った稲穂」の事を指します。
「瑞穂」は正しく、日本のものにこだわったこの店に、ふさわしい言葉だと感じた瞬間でした。
・天🌟地🌾人👬編
ここで、僕の考える外せない思想があるのですが、それは「天・地・人」の考え方です。
天とは「天の時」を指し、タイミングや時代背景から自らの力ではコントロールできない、天からもたらされるモノを指します。
地とは「地の利」を指し、物理的な条件、環境、自分の置かれている場所の優位性などを指します。
人とは「人の和」を指し、心の団結、チームワーク協力関係や周囲の人々との調和や信頼しあう力を指します。
何をするにも、すべてが揃ってこそ成り立つ大事な要素だと考えています。
そうなると、「星」は「天」を表し、「瑞穂」は「地」を表す。じゃあ、「人」はどうなるのか??「人」がないじゃないかって思われるかも知れません。でも、「人」は最初からあったのです。作物を育てる人である農家の方、お酒を造る人である作り手、出来上がった商品を売る人である売り手、その商品を買って飲まれる人、もしくはそれを仕入れてお店で提供される人である買い手。
このそれぞれの「人」達が、協力し合い、誰もが幸せになれる環境こそが「人」なのです。
僕は、自分の思想、理想を体現するのに、この名前こそが良いと思い屋号にしました。
今はまだ、誰もほんとうの幸いには出来ていませんが、いつかそういった場所に出来ればよいと思っています。
読んでいただいた方が居られましたら、長文のお付き合いありがとうございました。
またよろしかったら、たまに投稿していこうと思ってますので、気が向いたら見てやってください。
今後とも、「星乃瑞穂酒店」をよろしくお願いいたします。
店主 白數 剛士